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すぐにわかる!V-V ECMOの観察ポイントと合併症

ECMOの観察項目と看護のポイントブログ

ECMOって機械も大きいし観察することも多いしなんだか不安。ちゃんと観察できるかな

今日はCOVID-19の患者さんでよく使用されるV-V ECMOについて勉強するよ!

この記事ではこんな人におすすめ!

  • ECMOの受け持ちを始める方
  • 何を観察したらいいのか不安
  • V-V ECMOの看護のポイントについて知りたい

V-V ECMOの時の看護のポイント

ECMO挿入中の合併症

出血

ECMO挿入中に一番生じやすい合併症が出血です。ECMO挿入中は体の中に異物が入るため、血栓ができないように抗凝固薬を使用します。そのため、刺入部からの出血や消化管出血が生じることがあります。胃管の排液や排便、尿の性状の観察を行い、出血の有無の観察が必要です。また、脳出血のリスクもあるため、意識レベルや神経学的所見の観察も行います。

ECMO管理中は適切な抗凝固療法を行うためACTを定期的に測定します。

下肢の屈曲があると刺入部からの出血のリスクや脱血不良により溶血が生じるため下肢のポジショニングも重要です。

ACTの値によってヘパリンの流量を変更することが多いよ。時間によって測定することが決まっていることもあるので受け持ちする前に指示をしっかり確認しておこう!

下肢の血流障害

送血管から末梢に血流障害が生じやすいです。下肢の血流障害が生じた際には速やかに医師へ報告します。この際には送血管刺入部より末梢側に送血管を追加で留置することで下肢の血流を確保するバイパス術が検討されます。

下肢の血流障害の有無を確認するために、下肢の色調・冷感の有無・動脈触知を行いましょう。

バイパス術による血流再開時には不整脈に注意

下肢血流障害により虚血が生じると、虚血した末梢側では代謝産物であるカリウムやミオグロビンが蓄積されています。血流が再開することで、これらの代謝産物が全身に流れるため、高カリウム血症やアシドーシスによる不整脈に注意します。

感染

鼠径部より管を挿入するため便による汚染のリスクが高いです。また、ECMO挿入中の場合はすでに全身状態が悪化していることが多いため、免疫機能低下により易感染しやすい状態です。

血栓塞栓症

回路内で形成された血栓が送血されることで生じます。低流量や脱血回路から混入した空気が送血されることで血栓が形成されることが原因です。

末梢循環障害の有無や脳梗塞の所見に注意して観察する必要があります。

ECMOによる主な合併症のまとめ
  • 出血
  • 下肢の血流障害
  • 感染
  • 血栓塞栓症

V-V ECMOでは心機能の低下に注意

V-V ECMOの場合は呼吸補助としての役割となります。V-A ECMOとは異なり循環補助の役割はないです。そのため、心不全など心機能低下には注意する必要があります。

ECMO管理中の指標

目標値その他
SvO2(混合静脈血酸素飽和度)65%
(正常は75%)
・混合静脈血に含まれるHbの酸素の酸素飽和度
・全身の酸素受給のバランスを反映してる
・SvO2とSaO2が同じ値の時にはリサキュレーションの可能性がある
・60%以下の場合は酸素消費量の増加か酸素供給量が不足している可能性がある 
Lac(乳酸値)4mmol/L未満・上昇時は酸素の供給が少ないか、血栓による血流障害が生じている可能性あり
MAP(平均血圧) 60mmHg以上・臓器への血流維持の指標

V-V ECMO特有のリサーキュレーションに注意しよう!

リサーキュレーションの有無を見逃さない

V-VECMOでは静脈から脱血し静脈へ送血するため、血液の再循環が起こることがあります。送血管からの酸素化された血液がそのまま脱血されるため、酸素化の効率が下がってしまいます。SvO2とSaO2がほとんど同じ値の時にはリサーキュレーションを疑いましょう。

この場合はカテーテルの位置調整やポンプの回転数を下げたりして対応する必要があります。

機器の観察

人工肺血漿リーク

人工肺へ血症が入り込むと人工肺のポートから黄色っぽい漿液性の泡立ちのある水滴がみられます。人工肺の長期の使用によりたんぱくが吸着することが原因です。ウェットラングとは異なりガスフラッシュは効果がないため回路交換が必要になります。

ウェットラング

室温と回路内の温度差により結露が生じます。結露のため血症リークとは異なり透明の水滴です。結露によりガス交換の効率化が低下するため、結露を飛ばすためにガスフラッシュを行います。

遠心ポンプの異常音

異音の発生は回路内の血栓が原因になります。異音発生時は機械が停止することもあるため速やかに報告し回路交換の検討が必要です。

回路の振動

下肢の屈曲などでカテーテルの位置がずれると脱血不良となり、血液が引けないと振動が生じます。血管内では無理に血液を引こうとしているため、溶血や気泡の発生のリスクが高くなります。

体位交換後やケア後に生じた場合は下肢の屈曲や固定がずれた可能性があるためポジショニングを調整したり固定にずれがないか確認しましょう。

また、循環血液量の低下も脱血不良の原因となります。屈曲や固定にずれが無い場合は医師に報告し輸液負荷などの対応を行います。

送血管・脱血管の色

脱血管は暗赤色、送血管は酸素化した直後のため鮮血色になります。

回路内血栓の有無

血栓により流量の低下や塞栓症が生じるため、新規の血栓の有無や血栓の位置にずれがなかの観察は重要です。

機器の観察ポイント

  • 人工肺血漿リーク
  • ウェットラング
  • 遠心ポンプの異常音
  • 送血管・脱血管の色
  • 回路内血栓の有無

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